人間国宝
直刃一筋 刀匠大隅俊平2018/03/19
日本刀の鑑賞において、最も大きな見所となる「刃文」。その形状は刀工独自のもので様々なものがありますが、刃文の中でも最も難しいといわれる「直刃(すぐは)」に生涯をかけた刀匠がいます。名を大隅俊平。一点のゆるみのない真っ直ぐなその刃文は、まるで73歳で亡くなるまで直刃一筋に作刀してきた大隅俊平の人生そのもののようです。
大隅俊平は1932年群馬県新田郡沢野郡沢野村(現・太田市)に生まれました。沢野尋常小学校を卒業後、野県埴科郡坂城町の刀匠宮入昭平(昭和38年重要無形文化財認定、後に行平に改名)に師事し、作刀技術を学びました。修業中の1958年、日本美術刀剣保存協会主催の作陶技術発表会に初出品し、優秀賞を受賞。俊平26歳の時でした。「宮入昭平門下の逸材」として名を知られ、二年後も優秀賞を得たのを機に故郷に戻って独立。67年の新作名刀展からは6年連続で特賞を受賞、74年からは同展で2年ごとに最高賞である正宗賞を3回受賞するなど、華々しいの受賞歴を重ね、名実ともに最も優れた現代刀匠の一人として認められるようになりました。
大隅俊平の作風は、師匠から学んだ相州伝を離れて、鎌倉時代の刀工来国俊や青江派の古作の直刃を理想としています。直刃(すぐは)というのは焼刃の刃文が直線のもので、俊平はこの直刃に取り組んで研鑽を積んみ、「直刃の大隅」と称賛されるまでになり、独自の高みに達しました。直刃は一見簡単なように思われがちですが、どの工程も気が抜けない最も難易度が高い刃文です。初期には直刃以外の刃文を焼いた作品もわずかながらありますが、地鉄の研究をしていくには直刃が一番適していると気づいてからは、亡くなるまで直刃一筋で作刀に心血を注ぎ、現代刀工の中で大隅俊平が直刃の第一人者とまで言わしめるまでになりました。
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