人間国宝
ガス窯で志野を焼く現代作家 鈴木蔵2017/01/23

現代陶芸界に於いて志野焼の代表作家である鈴木蔵は、荒川豊蔵に次ぎ二人目の「志野」の重要無形文化財保持者に認定されています。その作品は、瑞々しい白い志野釉と緋色とのコントラストが美しい茶碗などの伝統的な茶陶を手掛ける一方で、ストライプや幾何学などの現代的で量感あるオブジェ風の作品まで、志野という技法の中で幅広い作風を展開し人々を魅了しています。一貫して志野にこだわる鈴木ですが、あくまで現代志野を表現すべく、独立当初からあえて「ガス窯」を使っています。「薪でなければ良い志野は作れない」という既成概念を見事に打ち破り、現代作家としての強い意志を感じさせます。
ったわけではありませんでした。けれども生まれ育った岐阜県市之倉(現多治見市)には古くからの窯跡があり、その周辺を駆け回って遊んでいた鈴木少年は陶片を拾い集めては整理していたといいます。こうして
志野茶碗などの茶陶の印象が強い鈴木蔵ですが、陶芸を始めた当初は「茶陶などやるものか」と思っていたという程、茶陶にはさほど興味を持っていませんでした。それが30代の初め頃、年末に主催されたチャリティーで初めて茶碗を作ったのをきっかけに、茶陶にのめり込むようになりました。しかしただ伝統にこだわるというだけでなく、日本人の自然観に適した志野をいかに現代志野として制作していくかを常に追い求め、現代のエネルギーで偶然性をできる限り排除し、自身の創意の行き届いた作陶を目指すようになったのです。その作陶姿勢は多くの人の心を見事に捉え、独立後は誰もがうらやむような受賞を重ね順風満帆な作家人生を辿りました。
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