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コラムコラム

刀剣・刀装品

日本刀の種類一覧|長さ・形・歴史・用途による違いと見分け方2026/06/19

日本刀の種類一覧

日本の刀剣は、武器としての機能美だけでなく、美術品としても世界的に高く評価されています。
その種類は多岐にわたり、作られた時代や用途によって姿形が異なります。

この記事では、代表的な日本刀の種類を、長さや形状、歴史的背景といった基準から分類し、それぞれの特徴や見分け方を分かりやすく解説します。

日本刀の種類は何で決まる?主な4つの分類基準


日本刀の種類は、主に「長さ」「形」「作られた時代」「用途」という4つの基準で分類されます。
刀身の長さ、刃の向きや反りの具合といった形の違い、そして平安時代や江戸時代といった製作された時代背景が、それぞれの刀の性格を決定づけるもとになります。
これらの基準を理解することが、多種多様な日本刀を見分けるための第一歩です。


刀身の「長さ」による分類(尺・寸の基本)


日本刀は刀身の長さによって明確に分類されます。
基準となる単位は尺貫法の尺と寸です。
一般的に、長さが2尺(約60.6cm)以上を刀(太刀・打刀)、1尺以上2尺未満を脇差、そして1尺未満を短刀と呼びます。

この長さの定義は、刀の種類を判断する上で最も基本的な要素となります。


刃の向きと「反り」による分類


刃の向きと反りの違いは、特に「太刀」と「打刀」を見分ける重要なポイントです。
太刀は刃を下向きにして腰から吊るし、馬上で振り下ろしやすいように反りが強く作られています。
一方、打刀は刃を上向きにして帯に差し、鞘から抜き放つ動作に適した反りを持ちます。

刀身に刻まれる製作者の名前も、佩用した際に外側に来る面に切られるため、銘の裏表も判断基準になります。


使用された「時代」による分類


日本刀は、作られた時代によって主流となる種類が異なります
平安時代から鎌倉時代にかけては、騎馬戦が主流だったため「太刀」が中心でした。

しかし、室町時代に入り戦闘様式が徒歩での集団戦に移ると、より素早く抜刀できる「打刀」が主流となります。
さらに、泰平の世となった江戸時代には、武士の身分を象徴する大小二本差しとして「打刀」と「脇差」の組み合わせが定着しました。


戦い方や「用途」による分類


戦い方の変化や多様な用途も、刀の種類を生み出しました。
馬上で振り下ろすことに特化した太刀、地上での近接戦闘や奇襲に向く打刀、屋内戦や打刀が折れた際の補助武器となる脇差など、それぞれの刀は想定される戦闘場面に合わせて進化しています。

また、戦場で鎧の隙間を突くための「鎧通し」や、護身・自決用、儀式用といった戦闘以外の目的で作られた刀剣も存在します。

【太刀(たち)】馬上で戦うために生まれた優美な刀


日本刀の種類一覧

太刀は、平安時代から鎌倉時代にかけて主流だった日本刀の一種です。
主に馬に乗った武士が用いることを想定して作られており、馬上で扱いやすいように刀身の反りが強く、優美な曲線を描いているのが特徴です。
刃を下にして腰帯から吊るして佩用する「佩く(はく)」というスタイルで携行されました。


太刀の主な特徴と打刀との見分け方


太刀の最大の特徴は、腰反りや中反りと呼ばれる、刀身の根元近くから大きく反っている点です。
打刀に比べて長く豪壮な作りのものが多く見られます。
最も簡単な見分け方は、佩用方法の違いに由来する銘の位置です。

太刀は刃を下にして佩くため、腰に下げたときに外側になる面に銘が切られます。
これを「太刀銘」と呼び、打刀の銘とは逆になります。


平安~鎌倉時代に主流だった歴史的背景


平安時代から鎌倉時代の合戦は、馬に乗った武士による一騎打ちが中心でした。
そのため、武器も騎乗での戦闘に適したものが求められました。

太刀の強い反りと長さは、馬の上から片手で抜き放ち、そのまま振り下ろして「断ち切る」動きに最適化された形状です。
こうした戦闘様式の変化が、太刀という刀剣の形式を生み出すもととなりました。


太刀に分類される有名な名刀の例


太刀には数多くの名刀が存在し、特に有名なものとして「天下五剣」が挙げられます。
例えば、国宝に指定されている「三日月宗近」や「童子切安綱」、「大典太光世」などがこれにあたります。
これらの刀は、その美しさと共に数々の伝説や逸話に彩られており、それぞれの名前も広く知られています。

【打刀(うちがたな)】武士の魂を象徴する一般的な日本刀


打刀は、室町時代中期以降に登場し、江戸時代には武士の主要な帯刀となった日本刀です。
「刀」と聞いて多くの人がイメージするのがこの打刀であり、武士の魂とも呼ばれる象徴的な存在です。

地上での戦闘(徒歩戦)に適しており、抜刀と斬りつけを一つの流れるような動作で行えるよう工夫されています。


打刀の構造的な特徴と太刀との違い


打刀は、刃を上向きにして腰の帯に直接差して携帯します。
このため、反りは刀身の中ほどから先端にかけてつく「先反り」が主流で、抜き打ちに適した形状です。
太刀とは逆に、帯に差した際に外側になる面に銘が切られる「刀銘」となります。

また、実用性を重視し、柄や鍔、鞘といった刀装具(拵え)も、時代と共に様々な意匠のものが作られました。


室町時代以降に徒歩戦で使われた背景


室町時代になると、合戦の主流が騎馬戦から足軽などを含めた集団での徒歩戦へと移行しました。
この変化に伴い、馬上で使う太刀よりも、鞘から素早く抜いて斬りつけられる刀が求められるようになります。
このような戦闘スタイルの変化に対応して打刀が生まれ、普及していきました。

また、製鉄技術の向上により、高品質な鉄の安定供給が可能になったことも背景にあります。


打刀に分類される有名な名刀の例


打刀にも多くの名刀が存在します。
織田信長が愛用したとされる国宝「へし切長谷部」や、新選組副長・土方歳三が所持していたと伝わる「和泉守兼定」などが有名です。
これらの刀は、歴史上の人物と共に語られることが多く、その人気を支えています。

【脇差(わきざし)】打刀の補助として使われた短い刀


脇差は、打刀よりも短い刀で、主に補助的な武器として用いられました。
打刀と共に腰に差す「大小二本差し」の「小」にあたるのが脇差です。

屋内など、長い刀を扱うのが難しい場所での戦闘や、万が一打刀が折れたり失ったりした場合の予備の武器として重宝されました。


脇差の定義とは?長さによる3つの分類


脇差は、刀身の長さが1尺(約30.3cm)以上、2尺(約60.6cm)未満のものと定義されています。
この中でも長さによってさらに細かく分類され、2尺に近いものを「大脇差」、1尺3寸(約40cm)前後のものを「中脇差」、そして1尺に近い短いものを「小脇差」と呼びます。
武士だけでなく、町人なども護身用として携帯を許される場合がありました。


江戸時代の武士が大小二本差しにした理由


江戸時代に入ると、幕府の定めにより、武士は大小二本の刀を差すことが正装とされました。
これは「大小二本差し」と呼ばれ、武士の身分や権威を示す象徴的な意味合いを持ちました。
長い方の「大」が打刀、短い方の「小」が脇差です。

泰平の世となった江戸の時代において、刀は武器としてだけでなく、身分を証明する重要な役割を担うようになったのです。


脇差に分類される有名な名刀の例


脇差の名刀としては、もとは大太刀であったものが磨り上げられて脇差になったとされる重要文化財「にっかり青江」が有名です。また、もとは薙刀であったものが磨り上げられて脇差となった国宝「骨喰藤四郎」もよく知られています。これらの刀の来歴や名前の由来には、興味深い逸話が残されています。

【短刀(たんとう)】護身や儀式で用いられた最短の刀剣


短刀は、長さが1尺(約30.3cm)未満の最も短い刀剣です。
その携帯性の高さから、武士や女性の護身用武器(懐剣)として用いられたほか、武士が自決する際の道具や、婚礼などの儀式、魔除けのお守りとしても使われました。
用途が非常に多岐にわたるのが特徴です。


短刀の具体的な長さと形状の特徴


短刀の定義は、刀身の長さが1尺(約30.3cm)未満であることです。
形状としては、反りがほとんどないか、あってもごくわずかな「無反り」のものが多く、刀身の断面形が平らな「平造り(ひらづくり)」という様式が一般的です。
この単純な形は、突き刺す、あるいは切り裂くといった短刀の用途に適しています。


鎧通しや懐剣など用途に応じた種類


短刀には、その用途に応じて特化した様々な種類が存在します。
例えば、戦場で敵を組み伏せた際に、鎧の隙間から突き刺すために刀身を厚く頑丈にした「鎧通し(よろいどおし)」

また、武家の女性が護身用として帯の間に忍ばせた「懐剣(かいけん)」などがあります。
これらは反りが無いものが多く、それぞれの目的に応じた進化を遂げました。


短刀に分類される有名な名刀の例


短刀は、特に鎌倉時代の刀工・粟田口吉光の作に名品が多いことで知られています。
彼の作品は藤四郎という名前がつくものが多く、例えば薬研藤四郎や、国宝に指定されている厚藤四郎などが非常に有名です。

まだある!用途で分類される特殊な日本刀の種類


日本刀の種類一覧

これまで紹介した太刀や打刀などの他に、特定の用途や形状を持つ特殊な日本刀も存在します。
薙刀の種類や、槍の前身である矛など、刀剣の歴史は非常に多様です。

ここでは、そうした特殊な刀剣の中から代表的なものをいくつか紹介します。


日本刀の原型となった反りのない「直刀」


直刀は、日本刀の特徴である「反り」を持たない、まっすぐな刀剣です。
古墳時代から奈良時代にかけて作られ、反りのある「湾刀」形式の日本刀が誕生する以前の、原型ともいえる存在です。
多くは地面に埋葬されていたため、現存するものは少ないですが、日本刀の変遷を知る上で非常に重要なものです。

反りが無く、片刃だけでなく両刃の剣ももとになっています。


儀礼用や奉納刀として作られた「大太刀(野太刀)」


大太刀(おおだち)または野太刀(のだち)は、刀身の長さが3尺(約90cm)を超える長大な刀です。
その大きさから実戦での使用は限られ、多くは神社への奉納刀や、権威の象徴としての儀礼用として作られました。
その迫力ある姿は、世界中の刀剣の中でも際立った存在感を放っており、持ち主の武威や財力を示すためのものであったと考えられています。


柄が長く斬撃に特化した「薙刀(なぎなた)」


薙刀は、長い柄の先に、反りのある幅広の刃を取り付けた武器です。
遠心力を利用して広範囲を薙ぎ払うことができ、特に集団戦で威力を発揮しました。

平安時代から室町時代にかけて武士や僧兵に広く用いられ、江戸時代以降は武家の女性が用いる武具としてのイメージが定着しました。
薙刀の種類には、刃の形によって「巴形」や「静形」などがあります。


突くことを主目的とした「槍(やり)」


槍は、長い柄の先に「穂(ほ)」と呼ばれる両刃の刃物を取り付けた武器で、主に「突く」ことを目的としています。
古代の矛(ほこ)から発展した武器と考えられており、戦国時代には足軽の主要な装備として合戦で広く用いられました。

穂先の形状によって様々な種類があり、日本の合戦風景を代表する武器の一つです。

日本刀の種類に関するよくある質問


日本刀の種類について学ぶ中で、特に多くの人が疑問に思う点がいくつかあります。
ここでは、そうした刀の種類に関するよくある質問とその回答をまとめました。
太刀と打刀の違いや、時代の変化についてなど、基本的ながらも重要なポイントが語られることが多いです。

Q1:「太刀」と「打刀」の一番簡単な見分け方は何ですか?


A:最も簡単な見分け方は、刀の反りの向きと、刀身に刻まれた銘の位置を確認することです。
太刀は刃を下向きにして佩くため、反りが刀身の根元側で強く、銘は佩いた時に外側に来る面に刻まれます。
一方、打刀は刃を上向きに差すため、反りが先端寄りで、銘も差した時に外側に来る面にあります。

Q2:時代によって主流の刀の種類が変わったのはなぜですか?


A:最大の理由は、合戦における「戦い方」が大きく変化したためです。
平安・鎌倉時代の騎馬武者による一騎打ちが中心だった頃は、馬上から振り下ろしやすい「太刀」が主流でした。

しかし、室町時代以降、徒歩による集団戦が中心になると、より早く抜刀して対応できる「打刀」が求められるようになりました。

Q3:刀の長さの単位「尺」や「寸」は今でいう何センチですか?


A:刀の長さを表す単位は、1尺が約30.3cm、1寸が約3.03cmです。
この尺貫法は日本の伝統的な計量法で、10寸が1尺、10分が1寸となります。

例えば、2尺3寸の刀であれば、約69.7cmとなります。
この基準を知ることで、刀の長さからその種類(刀、脇差、短刀)をおおよそ判断できます。

まとめ


日本刀は、その長さや形状、作られた時代背景によって、太刀、打刀、脇差、短刀など多様な種類に分類されます。
それぞれの刀は、騎馬戦から徒歩戦へと移り変わる戦術の変化や、武士の社会的役割に応じてその姿を変えてきました。
単なる武器としてだけでなく、日本の精神文化や美意識を宿した鉄の芸術品として、その違いを理解することは日本刀の魅力をより深く知ることにつながります。

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