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銀行頭取を務めながらも趣味の陶芸を続けた 川喜田半泥子2017/03/06

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川喜田半泥子
(本名・久太夫政令)は1878年に木綿問屋の豪商である川喜田家に生まれました。父は川喜田家の15代当主・久太夫政豊です。半泥子が生後間もない頃、不幸なことに祖父と父が相次いで亡くなってしまいました。この時半泥子の母は18歳。まだ若く不憫という事で実家に帰され、半泥子は祖母である政によって育てられました。政は松坂射和の豪商・竹川家の出身で、兄の竹斎は万古焼復興の為に尽力したり多大な功績を残した人物で、あの勝海舟とも親交がありました。
この政の厳しくも愛情あふれた養育により、参禅の他に茶の湯や俳句などの高い教養を身に付けた半泥子は後年その才能のいかんなく発揮するのでした。

三重県財界の重鎮となる


明治36年、三重県の百五銀行取締役に就45任した半泥子は、その後も三重県議会議員や三重農工銀行頭取・百五銀行頭取などの重職を歴任しました。その間、関東大震災、昭和の金融恐慌や2度の世界大戦などの危機がありましたが、持ち前のバイタリティで荒波を乗り越え、頭取として百五銀行の規模を拡大し、三重県有数の銀行に育てました。
半泥子のどんな状況下でも冷静さを失わない強靭な心身は、政に勧めて始めた禅の教えの賜物ともいえます。
(※画像は頭取時代の愛車 パッカード)

趣味で始めた陶芸


43半泥子が陶芸を始めたのは40代を過ぎた頃からでした。当初は人に作らせていましたが、納得いくものを自分で作るべく、自ら轆轤を引くようになりました。日本や朝鮮各地を巡り研究を重ねたり、若手陶芸家達との交流も積極的に行いました。金重陶陽荒川豊蔵三輪休和とは作陶連盟「かねひら会」を結成。この3人は後に人間国宝に認定されています。

50歳を過ぎた頃から本格的に茶陶に取り組み、自邸に窯場を設けて莫大な数の作品を制作するようになりました。規制の概念にとらわれることなく、自由な発想で創作した品々は、志野、瀬戸黒、井戸、粉引、信楽、伊賀、色絵、唐津、刷毛目といったあらゆる分野に及び、素人ながらも品格あふある作品はどれも高く評価されました。
昭和38年、半泥子は惜しまれながらも帰らぬ人となりました。激動の時代を生きながらも常に人を楽しませ、楽しむ人を見るのが好きだったという半泥子は、以下の言葉を遺しています。

「芸術とは本来遊びである。権勢に媚びるための手段でも、生活の糧を得るための手段でもあるべきではない。光悦も自分も、陶芸は余技だから売る必要がない。ゆえに自分の理想とするものを、他人のことなど気にせずに自由に自分の好きなように作る事ができる」

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