書画　1890‐1953

前衛書の草分けとされる書家の一人。書家となる以前は雑誌「ホトトギス」に短歌や小説を投稿。自身で短歌会を結成し、短歌誌「野菊」の発行も行った。1929年に書道家の丹羽海鶴、1933年比田井天来に師事する。1931年の大日本書道院第一回展で最高金賞を受賞し書学院教授に就任。1938年には実弟の大澤竹胎らと平原社を立ち上げ、1947年には書道芸術院の創立に携わった。

書道作品は隷書・篆書が中心の前衛書を手がけ、紙の余白に墨を散らす独創的な絵画的手法を用いた。また1945年の疎開先で生涯の交友関係を築く版画家の棟方志功との合作も行っている。絶筆作品となった「黒嶽黒谿」は有志により死後日展に出品されたが、展示を拒否された。この事件はマスコミ各社に大きく取り上げられ、物議を醸しただけでなく、日展に所属する前衛書家の相次ぐ脱退を招いた。

 

年表

1890年　群馬県に誕生

1918年　アララギ会員となる

1922年　野菊短歌会を創設する

1929年　書家の丹羽海鶴に師事する

1931年　第一回泰東書道院展に入選
1933年　書家の比田井天来に師事。書道芸術院に参加する

1937年　大日本書道院第一回展において最高賞特別金賞を受賞。書学院教授に抜擢される
1945年　富山県に疎開し、表立雲、棟方志功と親交を結ぶ
1946年　日本書道美術院に参加する

1947年　日本書道美術院を脱退し、書道芸術院の結成に参加

1953年　日展に作品「黒嶽黒谿」陳列を拒否される。逝去